こんにちは。
子ども食育教室『みえハウス』のみえ先生です。
最近では、すっかり食育に関心が高まってきたように思います。
特に子どもに対する食育は一生を左右するかも知れない重要なものだと感じています。
それゆえに、家庭でも正しい食育を子どもにできたら…と思われるお母さんも多いのではないでしょうか?
でも、「家庭で子どもに食育って難しそう…」と、お母さんは思われますか?
「正しい食育ってなに?」と、食育の正解を探してしまいそうになりますか?
子どもに対する食育は一生を左右するかも知れない重要なものだと言われると、お母さんはプレッシャーかもしれませんね。
でも、食育は家庭でできる身近なところにあり、それはごく当たり前に感じられることなんですよ。
またまた、悩んでしまうお母さんもいらっしゃるかも…です。
この記事では、子どもの食育で得られる10の効果と家庭での伝え方を『みえハウス』での実践も交えてお伝えいたします。
お子さんから「食育」って、何!?
と聞かれた時に、今回の記事を読んでいただき、ひとつでも印象に残ったことがお母さんの答えになるのではないでしょうか…。
食育で得られる10の効果と家庭での伝え方をすぐにチェックしたい場合はすぐ下の目次から飛んでください!
目次
食育の定義
食育のあり方というのはご家庭それぞれで構わないと思いますが、ここでは念の為、一般的な食育の定義を見ていきましょう。
定義
農林水産省による食育の定義はこちらです。
『食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです』
引用元:農林水産省|食育の推進
食育基本法
2005年に制定された食育の基本的な理念などを示した法律が『食育基本法』です。
この法律は、「食」を通じて、誰もが健康で幸福な人生を送ることができるように、「食育」を国民運動として推進するために作られたそうです。
食育基本法に基づき、食育の推進に関する基本的な方針や目標について「食育推進基本計画」が定められます。
食育推進基本計画
2021年から2025年までのおおむね5年間とする「第4次食育推進基本計画」では、
『基本的な方針として3つの重点事項を掲げ、国民の健全な食生活の実現と、環境や食文化を意識した持続可能な社会の実現のために、SDGsの考え方を踏まえながら、多様な関係者が相互の理解を深め、連携・協働し、国民運動として食育を推進することとしています』
と、農林水産省のホームページから啓発にあたってリーフレットを作成したものが、ダウンロードできるようになっています。
リーフレットPDF全体版(PDF : 5,723KB)
リーフレットHTML版
第4次食育推進基本計画では、最近よく聞くようになった「SDGs」という言葉が登場しました。SDGsには17の目標があり、これらの目標を2030年までに達成するというのが人類共通の約束です。
やはり、この目標の中に食育と切り離せないものがあるのだと感じます。
このような食育ですから子ども、いや人類にとって大切なことは容易に想像が出来ますが、具体的にどんな重要性があるのかを考えていきたいと思います。
子どもにとって食育の重要性が高まっている理由
食育に関する様々な資料を閲覧するとともに、保育士、食育インストラクターとしての仕事を通して私が導き出した、子どもにとって食育の重要性が高まっている理由は次の3つです。
理由1 子どもの心と体の成長に影響を及ぼす問題
理由2 家庭での食習慣が子どもの人格形成に影響を及ぼす問題
理由3 親子関係の歪みが、子どもの「食」の歪みとなって現れる問題
それでは一つずつ考えていきましょう。
理由1 子どもの心と体の成長に影響を及ぼす問題
2005年に食育基本法が制定された背景には、「食」を大切にする心の欠如、栄養バランスの偏った食事、不規則な食事の増加、肥満や生活習慣病の増加、などがあります。
これらの影響は、子どもたちの体力や運動能力の低下、気力の低下や欲望がコントロールできずに「キレ」やすくなるなど、食の基本が崩れたことから生じた問題と考えられています。
理由2 家庭での食習慣が子どもの人格形成に影響を及ぼす問題
家庭において、家族が別々のものを食べる「個食」や1人で食べる「孤食」、決まったものしか食べない「固食」などが増えてきた現代。
家族揃って食事をすることがない子どもや、朝食を食べずに家を出る子どもにとっては、これが普通の食習慣になっています。
たとえば、食卓で会話がないと社会性や食事のマナーが身につきません。
また、自分のペースで食事をするのが当たり前になると協調性が育たなかったり、誰かにペースを乱されると腹を立てるようになったり、家庭での食習慣が子どもの人格形成に影響を及ぼすことは十分に考えられます。
理由3 親子関係の歪みが、子どもの「食」の歪みとなって現れる問題
子どもは家族で楽しく食卓を囲むことで、食事を大切にする心を育んでいきます。しかしながら、家族団らんの機会が減っている家庭は多いのではないでしょうか。
子どもの「摂食障害」の背景には、お母さんとの関係の歪みに辿りつく事例が多いそうです。
たとえば、女子高生が「太っているね」と、友だちに言われたことが「拒食」の引き金になったとします。
その背景をカウンセリングで探っていくと、幼少時代にお母さんに甘えたかったけれど、忙しくほとんど構ってもらえなかった過去の体験が背景にあるそうです。
お母さんは我が子に最初に食を与える存在なので、「食」の歪みとなって現れると言われています。
このように書くと、お母さんが悪いみたいですが、決してそうではなく、核家族化や共働き世帯が増える世の中ですから、子どもにとって楽しい食卓がどれほど大切かということを再認識していただきたいのです。
以上が子どもにとって食育の重要性が高まっている3つの理由です。
と、話していましたが、家庭での食育の効果は、「子どもの歪みのない人格形成につながっていく」と、いうことだったんだですね。
食育で得られる10の効果と家庭での伝え方
効果1 食材への興味関心が高まる
- 食べる意欲が増す
- 知識が豊かになる(食材の名前、旬、栄養など)
- 多くの食材を知ることでボキャブラリーが増える
- 料理が好きになる
旬の食材や食材の栄養を伝える
旬の食材を献立に取り入れましょう。たとえば、「春キャベツは、巻き方がふんわりしている」と、簡単に特徴を伝えるだけでも子どもの興味関心は高まります。
食材の栄養は、「筋肉がつく」「目がよくなる」など、具体的に体にどういいのかを伝えます。たとえば、人参はβ‐カロチンが豊富で体内でビタミンAに変わります。
ビタミンAの働きを「暗いところでも目がよく見えるようになるよ!」と、難しい言葉を使わず伝えることが大切です。
子どもと一緒に買い物に出かける
買い物に子どもと一緒に行き、食材選びを手伝ってもらいます。たとえば、ピーマンはつやがあり、へたの色が鮮やかであることが新鮮なサインです。
新鮮なピーマンは苦味がまろやかであることを伝え、子どもと一緒に選ぶことで興味関心が高まります。
子どもと一緒に実験してみる
食べないと結果がわからない実験で食べるきっかけを作ります。たとえば、普通のトマトとミニトマトを食べ比べてみると、ミニトマトの方が甘く感じられるはずです。
また、同じミニトマトでも皮の色が濃い方が甘いです。実験して食べてみたり、大きさや色をよく観察したりすることで興味関心が高まります。
簡単に作れる野菜を子どもと一緒に育て観察する
ベランダや室内で、子どもと野菜を育てると成長の過程が楽しめます。たとえば、葉の根元で切った人参を水につけたことはありませんか?
毎日の水替えは、子どもに任せます。そして、人参の葉が伸びてくると、根の部分に栄養があるから葉が伸びることを伝えます。野菜を育てることで、子どもの興味関心は高まります。
クイズ・ゲーム(みえハウスでの実践)
旬の食材を使う時、季節の食べ物クイズをしたり、魚釣りゲームをしたり、子どもが楽しく食材を知り、興味関心が高まる工夫をしています。
こんなゲームです!
『季節の食べ物クイズ絵本 12か月』著者 角槇作/全国学校給食協会
効果2 料理が好きになる
- 料理が上手になる
- 数字や段取り力が自然に覚えられる
- 集中力が身につく
- アイディア力、美的感覚が身につく
- チャレンジ精神が旺盛になる
- 好き嫌いを克服できる
親子クッキングや子どもに料理のお手伝いをしてもらう
料理が好きになる効果は、全ておうちの台所で伝えられます。
子どもと一緒に計量したり、子どもに料理の段取りを伝えたりする中で、数字や段取り力を子どもは自然に吸収していきます。
そして、子どもと一緒に盛り付けたり、飾りをトッピングしたりすると、子どもは豊かな感性を発揮します。
たとえ失敗しても、子どもを信じて応援していることを伝えると「また、チャレンジしてみよう!」と前向きな気持ちが育ちます。
家族でアウトドアクッキングを楽しむ
飯ごうでご飯を炊いたり、野菜たっぷりのカレーを作ったり、家族と外で作って食べるごはんは、最高のごちそうです。作る時のワクワク感や食べる時の幸せな気持ちは子どもにとり、かけがえのない時間になります。
いつもとちがう環境での食体験は、アイディア力やチャレンジ精神がふくらみます。アウトドアクッキングが楽しすぎて、苦手な食材を食べていた!なんてことがあるかもしれません。
子どもといつもとちがう環境でクッキングするのも、料理が好きになるひとつの伝え方です。
アウトドアクッキングの参考サイト
『子供と一緒に作るキャンプ飯!子供が喜ぶ簡単キャンプ料理22選』
Campifyマガジン|キャンプがもっと手軽に身近になるメディア様より
効果3 好き嫌いを克服する
- 食の幅が広がる
- 発想転換力が身につく
- 社会性が育つ
- ポジティブ思考になる
- 自己肯定感が育まれる
まずは、子どものありのままの姿を受け止める
子どもの好き嫌いが多いと、お母さんはついイライラしてしまったり、食べ残しを見てため息をついてしまったり、子どもを責めてしまうかもしれません。
こんな気持ちが子どもに伝わると、子どもは自分が否定されていると受け止めてしまいます。
これでは子どもの自己肯定感が育ちません。まずは、「そう…嫌いなのね…」と、子どものありのままの姿を受け止めることです。
自己肯定感が育ってこそ、好き嫌いの克服に繋がっていきます。
子どもに「食事は楽しい」という雰囲気を感じてもらう
子どもの自信と喜びにつなげることで、「食事は楽しい」という気持ちと「自己肯定感」が芽生えます。
味覚は感情と繋がっています。特に子どもは、誰と何をどうやって食べたか…という幼少期の思い出が、「食」の美味しさや楽しさを左右させています。
「みんなで食べるご飯はおいしい!」「いろんなものが食べられることは楽しい!」と感じることで、子どもの社会性は豊かに育ちます。
子どもの好き嫌いの理由に耳を傾け一緒に解決策を考える
子どもの好き嫌いの理由は、「味とにおい」「見た目」「食べにくい」「食べ慣れていない」「トラウマ」などが考えられます。
子どもの理由がキャッチできれば、食べやすさ、噛みやすさ、温度など、調理方法を工夫してみてください。
(ただ、トラウマの場合は個人の心の傷なので、食べられるようにする必要が本当にあるのか、周りの大人が判断することが大切です。)
時に、マヨネーズやケチャップを味方につけるのもアリだと思います。
「マヨネーズをつけると野菜が食べられた!」という、工夫して食べられた経験は、発想転換力に繋がります。目の前の食材を見て、「食べられない」と引いてしまわず「どうしたら美味しく食べられるか!?」と、子どもと一緒に考えることで発想転換力とポジティブ思考が生まれます。
みえハウスで心掛けていること
子どもが「~~嫌い」「~~食べたくない」と言ったら、「そうなんやねー」と普通に言うようにしています。
子どもの言葉に過剰反応せず、そして、「えーっ、おいしいのにー」と大人の意見も言わず、まずは「そうなんやー」と、子どものその気持ちを受け止めます。
子どもが食べ物の嫌いな理由や食べたくない理由を、マシンガントークしても「そう…そう…」と聞き、子どもが「そんな風に思うこと」をしっかり聞くようにしています。
この時に、大人の意見は言わないように心掛けています。
みえハウスでは、まずは「そ」の実践と言っています(笑)
クッキング前の導入では食材に親近感が持てるように、食材が登場する絵本を見たり、製作をしたりします。それからクッキングを開始すると、苦手な食材であっても子どもは一生懸命に取り組んでいます。
好き嫌いが多い子どもでも、作るのがイヤという姿はありません。食べるまでの過程を楽しむ経験を重ねていくと、食の幅は少しずつでも広がっていくと感じています。
効果4 自己肯定感が育まれる
- 達成感や自信が得られる
- 共感力が育つ
- コミュニケーション力が育つ
- 感情コントロール力が身につく
- 生きる力が育まれる
子どもが味付けしたり、盛り付けたりした料理を家族が喜んで食べる
親子クッキングや子どもが料理のお手伝いをした後、家族一緒に食卓を囲む時間が何より大切です。
家族が「おいしい!」と食べたり「きれいな盛り付け!」と喜んだりする姿を見ると、達成感や自信が得られ「みんなのために作って良かった!」「また、喜んでもらいたい!」と、相手の気持ちを想像したり、寄り添ったりできる共感力が育ちます。
子どもが小さな成功体験を積み重ねる姿をしっかり受け止める
料理には、卵を割ることができた!フライ返しができた!包丁で上手に切ることができた!など、小さな成功体験を積み重ねていける作業が多いです。
子どもの小さな成功体験をしっかり言葉で表現して受け止めていきましょう。
「すごい!できたね!」と褒めてもらったり、「おいしいね!」と言ってもらったりすることで自己肯定感が育つと、たとえ失敗しても投げ出したり、イライラしたりせず、粘り強く取り組むことができる、感情コントロール力が身につきます。
また、取り組む中で、自分はこうやってみたい!という意見が言えたり、人の意見(アドバイス)も受け入れたりしながら、前向きにチャレンジすることができます。
そして、失敗よりも成功を強くイメージして、壁にぶつかっても立ち向かっていこうとする「生きる力」が育まれます。
みえハウスで見るステキな家族関係
子どもが苦手な食材を食べたことを、お母さんやお父さんにお伝えすると「すごい!!」と、子どもはたくさん褒められています。
褒められた子どもは「全部、食べた!」と、自信に満ちた笑顔です。
東京ガス都市生活研究所データでは、子どもが料理を作ると、それが食事中の話題の8割を占めると言われているのですよ!
ステキな家族関係の中で、子どもの自己肯定感が育まれていると感じます。
参考図書:『今日からはじめる! 子どものための食育&エコクッキング 』著者、東京ガス「食」情報センター他/近代映画社
効果5 生きる力が育まれる
- 感謝の心が育つ
- 思考力が身につく
- 判断力が身につく
- 表現力が豊かになる
- 心と体が健康になる
自然の恵みや命をいただくありがたさを伝える
スーパーで売られている野菜しか見たことのない子どもも多いと思います。
家族で収穫体験や農業体験に挑戦する機会があればステキですね。身近な野菜がどんな風に育つのかを伝えたり、収穫した食材で料理をしたりする中で、自然の恵みに感謝する気持ちを子どもに伝えます。
これは、普段の食卓でも同じです。
収穫体験の参考サイト
『親子におすすめ!果物狩り・味覚狩り特集2022 』
子供とお出かけ情報「いこーよ」様より
子どもに料理の一品を全て任せて作ってもらう
包丁や火を使わなくても、おいしい一品は作ることができます。
たとえば、レタスをちぎって、カニカマをほぐして、ドレッシングで和えればサラダが出来上がります。スライスチーズを星型に型抜きしていれるのもステキですね。
参考図書『はじめてでもかんたん!小学生のお料理レシピ』監修、川平 稔己/成美堂出版
子どもの「生きる力」は身近な体験で広がる
日本気象協会「トクする!防災」が言われていることで、ハッとさせられました。
それは、防災用にせっかく缶詰を保存していても、いざという時、従来型の缶詰が開けられなかったら本当に困るということです。
業務用の大容量で重たい缶詰、内圧、外圧が強くかかることが想定されている缶詰などは、イージーオープン型では作ることができないそうです。
ですから非常食、保存食として従来型の缶詰も販売されているとのこと。缶詰の備蓄には、缶切りも忘れずに備えておく必要がありますね。
効果6 心と体が健康になる
- 笑顔で生き生きと過ごせる
- 好奇心旺盛になる
- 気力がアップする
- 体力がアップする
- 五感が研ぎ澄まされる
家庭で規則正しい生活リズムを作りましょう
早寝早起き、適度な運動、決まった時間の食事、そして、朝昼晩の食事の前は空腹状態にして美味しくごはんをいただく。
一つ一つの事柄が心と体の健康につながることを子どもに伝えていきましょう。
たとえば、朝食欠食の子どもは、活動するためのエネルギー供給が不十分で体調不良をおこしたり、脳へのエネルギーが不足し集中力がなくなったり、また、無気力、イライラしやすい、キレやすいなどの問題が指摘されています。
家庭で「食」を大切にする気持ちがあってこそ、子どもにも「食」の大切さが伝わるのです。
ごはんを食べるのは「元気な体を作るため!!」だと伝える
体は、ごはんから取り入れた栄養でできていること、元気な体を作るためには、それをバランスよく食べること。その大切さを子どもに伝えましょう。
栄養素の働きから、3つの食品グループに分けたもの。
出典:農林水産省「食事バランスガイドと従来の分類法との関連」
赤のグループの食べ物は、主な栄養素はたんぱく質です。子どもには「体の血や肉を作るんだよ!大きくなるためにしっかり食べようね。」と、どんどん成長するための力になることを伝えましょう。
黄のグループの食べ物は、主な栄養素は炭水化物(糖質)と脂質です。脳や体を動かすエネルギーになり、子どもの元気の源になる食べ物です。
「たくさん食べたら、いっぱい走れるよ!」「いっぱい遊べるよ!」「いっぱい本を読めるよ!」と、ポジティブに伝えましょう。
緑のグループの食べ物は、主な栄養素はビタミンやミネラルです。体の調子を整えて、病気に負けない強い体を作る食べ物です。野菜やきのこ類は苦手な子どももいるでしょう。
でも、子どもと「コロナに負けないぞ~」とガッツポーズをして、パクパク食べてほしい食材ですね。
そして、心と体が健康になれば、五感でおいしさを感じ楽しく食事をすることができます。
五感が研ぎ澄まされることは、より豊かに生きていくためにも大切なことなのです。
効果7 五感が研ぎ澄まされる
- 脳が活性化する
- 感性が豊かになる
- 感覚がよくなる
- 調理方法に興味が湧く
- マナーが身につく
調理中に使っている五感を子どもに伝えましょう
「甘くておいしい!」とか「辛くて食べられない」など、食においての五感は、調理後の味覚が中心になることが多いですよね。
しかしながら調理中、五感は一度に使われているんです!
たとえば、子どもとカレーを作るとしましょう!!
「お肉を炒めるとジュージュー音が聞こえてくるね~」(聴覚)
「どんどんお肉の色が変わってくるよ~」(視覚)
「人参、じゃがいもはやわらかく煮えたかなぁ~味見してみよう!」(触覚)
「ルウを入れると、カレーのいい匂い~」(嗅覚)
「カレーができたぁ~おいし~」(味覚)
と、いうふうに調理中、五感は一度に使われており、その全てを子どもに伝えることができるのです。また、「おいしさ」を感じるのは味覚だけではありません。
鼻で感じるいい匂い(嗅覚)や美味しそうな見た目(視覚)など、体のいろいろな部分で「おいしさ」を感じていることを伝えましょう。
食において、五感を使っている意識を促すことが大切ですね。そして、子どもの五感がフル回転することで、脳の活性化にもつながります。
おいしさをいろんな言葉で表現してみましょう!
たとえば人参。人参スティックにして生で食べると歯ごたえがあります。スー先生、その歯ごたえを子どもとどんな風に表現する?
今度は人参を子どもと炒める時、スー先生はどんな風にお話する?
効果8 マナーが身につく
- 礼儀正しくなる
- 社会性が育つ
- 感謝の心が育つ
- コミュニケーション力が育つ
- 文化を知る
食事マナーの基本は、まず「いただきます」「ごちそうさま」のあいさつです
食事前後のあいさつは、子どもの離乳食が始まった頃から、ぜひ心がけてください。
まだ、言葉で表現するのが難しい年頃なので、大人があいさつする姿を見せることも、ひとつの伝え方です。
あいさつをして、食事への感謝を表す大人の姿勢から、何でも残さず食べることが大切なのだと子どもは感じます。
食事マナーは習慣です。3歳ぐらいから根気よく、ていねいに伝えていきましょう
箸がキレイに持てないと、見た目の印象がとても悪くなります。また、食べ物が上手につかめないと、犬食いや迎え舌、刺し箸などの原因にもなります。
他にも、食べる姿勢や食器の持ち方、音を立てて食べない...など、習慣として身につけたい食事マナーです。これを身につけていく場所は、家族団欒のひと時です。
ただ厳しくしつけるのではなく、幼少期から家族との楽しい食事時間のコミュニケーションのひとつとして伝えていきましょう。
食事マナーは、ゲーム感覚で楽しく伝えましょう
「お箸で豆を上手につかんで、お皿に入れることができるかな~!」「誰が音を立てずによく噛んで食べられるかな~!」など、ゲーム感覚で伝えると、子どもは楽しく取り組めます。
幼少期から、食事マナーが習慣として身につくことで、同じ食事空間にいる人を不快にしない社会性が育ちます。
効果9 文化を知る
- 好奇心旺盛になる
- 想像力が豊かになる
- 視野が広がる
- 知識が広がる
- SDGsを知る
家庭で「行事食」に触れ、楽しく味わいましょう
「行事食」は、季節の行事に合わせて作られる特別な料理です。
たとえば、おせち料理、お雑煮、ひな祭りのちらし寿司、年越しそばなど、それぞれの地域の特性が表れ、旬のもので作られています。特にお雑煮やちらし寿司の具材は地域の特性が表れますね。
家庭で「行事食」を味わい、その由来や旬の食材を伝えたり「お雑煮は丸いおもちを食べるところ、四角いおもちを食べるところがあるんだよ!」と、地域の特性を伝えたりすることで、子どもは好奇心がかき立てられ想像力がふくらみます。、
でも、本当にこのお雑煮、おいしいよねぇー。
いろんな地方の食べ物に触れる機会をもちましょう
日本各地の食材や料理を知ることは、子どもにとってワクワクする体験です。
家族でおいしい旅に出かけるのもステキですね。その土地の食材や味付けは、まさにその土地の文化です。身近に旅行気分が味わえるおススメが、物産展や駅弁フェアへのおでかけです。
日本各地の初めて知る食べ物に触れることで、「いつか行ってみたい!」と、好奇心がふくらんだり、子どもの知識や視野が広がったりすることでしょう。
食べ物を通して、いろんな世界のあり方に目を向けましょう
家庭で普段食べているパスタや餃子は異国の料理です。しかし、もはや異国の料理という意識は少ないかもしれません。
普段食べている果物やお菓子においても、同じことが言えるでしょう。食卓で異国の料理やマナー(ナイフとフォークの使い方など)を伝えることで、子どもの食文化は広がります。
また、日本以外の国に触れることで、食べ物が足りない国やキレイな水がない国があることを伝えるきっかけにもなります。
「食べ残しや食品ロスをなくそう!」と、SDGsの目標で家庭でできることを考え、子どもといろんな世界のあり方に目を向けることも大切です。
効果10 SGDsを知る
- エコ・クッキングの意味が分かる
- 「もったいない」の意識が高まる
- 地球環境のことを考えようとする
- 自分ができることを見つけようとする
子どもにエコ・クッキングの意味を伝え、楽しみながら取り組みましょう。
「エコ」とは「エコロジー(環境)」のこと。エコ・クッキングとは、環境にやさしい方法で料理を作ることだと伝えましょう。
たとえば、ため水で洗い最後に流水ですすいだり、なべ底に合った火力にしたり、キレイに洗った野菜は、皮ごと丸ごと使うなどの調理方法は
「水を汚さない」
「エネルギーを大切にする」
「ゴミを減らす」
という地球環境を大切にする取り組みだと伝えます。
子どもとSDGsにつながる買い物を楽しみましょう
☆地元の食材を買う
地元で作られたものを地元で消費すると、運ぶためにかかるお金やエネルギーをたくさん使わなくてすむこと(地産地消)を伝えましょう。
地域で回るお金も増えるので、地域社会の元気につながる大切なことです。
☆マイバッグを持っていく
マイバッグ(エコバッグ)を持って買い物をするのは、レジ袋を減らすようにする取り組みです。プラスチックのレジ袋が減れば、海洋汚染や地球温暖化を防ぐことにつながることを伝えましょう。
子どもと食品ロスを減らす取り組みを考えてみましょう
まだ食べられるものが捨てられてしまう「食品ロス」について、家庭で話し合い「もったいない」の意識を高めましょう。そして、食品ロスを減らすには、なにができるか家庭で考えてみることも大切です。
たとえば、消費期限は「安全に食べることができる期限」賞味期限は「おいしく食べることができる期限」です。この違いを伝え「すぐに食べるなら手前の食べ物を取ろうね」と、食品ロスを減らす「手前取り」の取り組みもステキですね。
また、子どもが残さず食べた時、「自分ができることをしっかりしているね!」と言葉をかけることも大切です。
まとめ
食育の効果は、いわゆる食べることだけにとどまらず食育を起点にして、子どもの歪みのない人格形成やSDGsへの取り組みまで、社会的要素を身につけることができることに気づいていただけたのではないでしょうか?
ぜひ「子どもの食育で得られる10の効果と家庭での伝え方」を参考に、ひとつでも実践していただければ嬉しく思います。