コロナ禍の学校生活で、一時期は学校給食が簡易な献立になっているというニュースを目にしたことがありました。
感染リスクを軽減するため、お皿に盛り付けて配膳するおかずを無くし、牛乳とパンがメインの給食になっていて、その時は正直「えっ!!これが給食!?」と、悲しくなりました…。
今は通常給食に戻っているようですが、子どもの体のことを考えると簡易給食の時の栄養は足りていなかっただろうなぁと思いました。
子どもの成長に合わせた栄養を摂ることは大切なことで、栄養バランスを考えながら学校給食の献立は考えられています。
その学校給食で、食べる量だけでなく味付けにも目を向けて、小学生の時期から「薄味」の大切さを子どもに伝えている小学校があるという新聞記事を見ました。
学校給食で「薄味」の習慣を!
広島県呉市にある小学校の給食で、広島の郷土料理「八寸(はっすん)」が登場しました。
八寸は、旬の野菜や魚、昆布など山海の幸をふんだんに使った煮物で、冠婚葬祭の時に近隣住人が食材を持ち寄って作り、直径8寸(24㎝)の大皿に盛り付けたことが名前の由来だそうです。
今は地元の家庭で作ることは珍しく、知らない子どもも多いそうです。削り節や昆布で出汁をとる八寸の調味料は少なめで薄味です。
2012年に「減塩サミットin呉」が開かれ、そのサミットをきっかけに呉市では減塩給食の取り組みが始まったそうです。
イベントを企画したのは、高血圧を専門とする地元の内科医のかたで、「子どもの頃に薄味の習慣を身につけることが、将来の高血圧や脳卒中の予防につながる。」と考え企画されました。
「ただ塩分を減らしても、子どもたちが食べ残しては意味がない」と、食べる楽しさや美味しさを損なわずに減塩を進めるために、栄養教諭と調理員は食材選びや調理法を工夫したそうです。
例えば、カレーの福神漬けを無くしたり、魚のフライにはソースではなく特産のレモンを添えたり、すまし汁は塩分を減らす分、料理酒を加えてうまみを引き立たせる…などなど。
このようなことが減塩、薄味の一歩なのでしょうねぇ。
給食の時間以外でも「薄味」について知る時間を!
また、給食の時間だけでなく、授業でも減塩の大切さを教えています。
授業を通して、現実には外食で塩分が多くなってしまう日があっても次の食事は塩分を控えようと、自分で考えられるようになって欲しいという思いもあるそうです。
また、子どもたちには「減塩献立のレシピ」や塩分過多が招く病気を紹介する冊子を家庭に持って帰ってもらい、家庭でも減塩について知ってもらう取り組みもしています。
呉市の減塩給食のきっかけを作った地元の内科医の方は、「安心な味を伝えることが、親や社会から子どもへのプレゼント。学校から家庭、地域に減塩を広げたい」と話されています。
大人になってから「減塩」や「薄味」など自分で意識することが多いですが、子どもの頃から知る機会があるということは大切だなぁと思いました。
そして、子どもたちが食べる給食は塩分量などを考えながら作られていますが、実際に食べて味覚で感じ体験し、授業でも知識として得ることができる。素敵な食育だなと感じました。