私が小学生の時、給食で人気メニューはカレーシチューやスパゲティでした。
みんなおかわりがしたいので、カレーシチューやスパゲティの時は早食い競争です。
そして、いざおかわりへ行くとお鍋の中はスッカラカン…おかわりは、わんぱく男子のお皿に大盛りです。
トボトボ自分の席にもどる女子たち…私もその中の一人でした。
席に着くと、パンとサラダと牛乳が待っています。思わずため息をついてしまいます。
この状況を見ている担任の先生は、どうして何も伝えてくれなかったのでしょうか?
自分たちで学習しなさい…ということだったのでしょうか?しかし、小学1年生のクラスでは毎回同じことが繰り返されていました。
悲しい気持ちの原因は…。
私が保育士だったある日、おやつは手作りのアップルパイでした。子どもたちは大喜びでアップルパイを食べ、保育室のおかわり分では足りなくなり、次のおかわりは栄養士のいる台所へ走っていったのです。どこのクラスの子どもも同じような状態でした。
保育室でアップルパイをあっという間に食べ、おかわりに来る子どもの姿に栄養士は唖然とし、悲しくなったそうです。栄養士は早食いをした子どもに対して悲しくなったのではなく、配慮に欠ける保育士に対して悲しくなったのです。
アップルパイを作るのに時間をかけて、心を込めて作ったのに…子どもたちに味わって食べることを伝えてほしかったと…。私は本当に申し訳なかったと反省しました。
作り手の気持ちを伝えること、作り手に感謝の気持ちをもつこと、そして、味わって食べることを子どもたちに伝えていませんでした。やはり、伝えてもらって気付くことは大人も子どもも沢山あると思います。
「よく噛んで味わって食べようね」「美味しいね…○○先生にありがとうだね…」と言葉がけると、子どもは心で言葉の意味を吸収していきます。
人気メニュ-をおかわりしたい気持ちはみんな一緒です。しかし、味わって、作ってくれた人に感謝して食べることを心が吸収していれば、クラスで早食い競争は起こりません。
また、「おかわりをする時は、お友だちのことも考えてね」とだけ子どもたちへ投げかけておきます。すると自ら友だちと半分に分ける姿が見られ、子ども自身が見つける答えに感心させられました。
伝えることの大切さ…。
私の勤めていた保育園は2歳~5歳までの縦割りグループで生活をしていたので、年齢の高い子どもがわんぱくに振る舞えば、年齢の低い子どもはずっと我慢をしなければなりません。その分、子どもの心の成長を援助する保育士は配慮に欠けることなく努めることが大切でした。
小学1年生の時の担任の先生は、クラスの給食の様子にあまり関心がなかったように感じます。わんぱく男子が誰よりも早く食べ、誰よりもたくさんの量をおかわりしても注意されることはありませんでした。
おかわりをできない女子の気持ちに気付き、代弁してくれることもありませんでした。そして、味わって食べることも、給食を作って下さる方々に感謝することも伝えてはくれませんでした。
伝えてくれる人がいるから、人の気持ちに気付くことができ、学ぶことができるのです。
私は食育を通して、人として大切なことを子どもたちに伝えていく大人でありたいです…。