子どもに人気の絵本“しろくまちゃんのほっとけーき”をご存知ですか?

誕生から40年以上も経つロングセラー絵本です。

しろくまちゃんがお母さんと一緒にほっとけーきを作る場面では、ほっとけーきが出来上がっていく様子が本当においしそうに描かれています。

ほっとけーきをフライパンに流しこむと、“ぽたあん どろどろ ぴちぴち ぷつぷつ…”と、ほっとけーきが焼ける音と絵が表現され本当に「おいしそう‼」のひと言です。

誰もが、おいしいほっとけーきがイメージできる素敵な絵本です。

実は私…おいしくないホットケーキを食べた経験があり、この本に出会った時、気持ちが本当に救われました。

これは工夫なのかなぁ?

小学校1年生の時、友達のYちゃんの家に遊びに行きました。Yちゃんのお母さんは、おやつにホットケーキを焼いてくれました。喜んでそのホットケーキを食べるとシャリッとする食感があるのです。

私は「ん⁉」と思い、その食感は何かとよーく見てみました。それは…人参の千切りでした。つまり“人参の千切り入りホットケーキ“だったのです。

私は、このホットケーキの味にかなりショックを受けました。人参はシャリッと半生の食感で人参独特の香りがします。しかも砂糖控えめで味はしょっぱいのです。少しだけかけられたハチミツは何の役割も果たしていませんでした。

ふっとYちゃんを見るとパクパク食べているのです。Yちゃんの妹も同じくパクパク…。私は、これが食べられるなんてすごいなぁ…とYちゃん姉妹を眺めていました。

そして、私は“人参の千切り入りホットケーキ”を残すことは出来ず、涙目になりながら全部食べたのでした。

Yちゃんのお母さんは、子どもが人参を食べられるように工夫して、ホットケーキに人参を入れたのでしょう。千切りにして…。でも、私は工夫というのは美味しさも加わってこそ、本当の工夫だと思うのです。

Yちゃんのお母さんは、教育ママでした。ちょっぴり怖い感じでした…。

そのお母さんが作ってくれたおやつを残すなんて、私は怖くて出来ませんでした。

Yちゃんの本音はわかりませんが、ホットケーキを食べる姉妹の姿はただ黙々と食べる…シャリシャリと食べる…楽しいおやつタイムとは程遠い感じでした。

お母さんは工夫しているつもりでも、子どもは強制的に食べさせられていると感じているかもしれません。「これ、おいしくないよォ~」と子どもが言える雰囲気なら大丈夫ですが、お母さんの圧が強ければ子どもは我慢してしまいます。

子どもが野菜を食べる工夫をするには…どうしたら美味しくなるのか?とお母さん自身も試行錯誤しながら楽しむ気持ちが大切ではないでしょうか…。

サヨナラ!トラウマ!

私は、今になっても人参の千切りを見ると、このホットケーキを思い出します。

保育園に就職した時、おやつの献立に“人参ケーキ”とありギョッとしました。

しかし、出てきた“人参ケーキ”はしっとりした“パウンドケーキ”でした。人参は、すりおろしてケーキに入っていたのです。これぞ工夫‼ 美味しい‼ と感動しました。

人参を“すりおろす”という工夫をYちゃんのお母さんに教えてあげたかった!!

そして、シナモンをプラスすると美味しそうな香りがただようことも…。

Yちゃんのお母さんは一生懸命子どもに野菜を食べさそうと必死だったのでしょう。

しかし、子どもに野菜を食べさせなければならない‼と柔軟性が欠けると目先の食べやすさ(千切り‼)だけの工夫になってしまいます。

何事も必死になりすぎると視野が狭くなります…。視野を広げるには、自分のやり方だけにとらわれず周りに目を向け、耳を傾けることが大切ですね…。