保育園に勤務していた時、土曜日はお弁当の日でした。(現在は給食ですが)

子どもたちはお弁当の時間が待ち遠しいようで、「お弁当にウインナー入っているよ!」とか「デザートはりんご!」など今日のお弁当の中身を教えてくれます。

待ちに待ったお弁当の時間になり、お弁当をあけたとたん「見て!見て!見てー!」と保育士を呼ぶ声!!

いつもと違う、お昼のひと時が子どもにとっては、とても楽しみな時間のようです。

でも、せっかくのお弁当に時間がかかり、「もう食べられない…残す…」と言う子どもがいます。

「お母さんが一生懸命に作ってくれたのよ…」と伝えるものの、無理強いせず、ごちそうさまをすることがありました。

食育と上手に向き合えるように…。

残す子どものお弁当の共通点のひとつは“お母さんが頑張りすぎ”なのです…。

子どもの嫌いな野菜が入ったお弁当や、かわいく飾られたキャラ弁などです。

もちろん、お母さんが子どもを思う愛情弁当です。栄養のバランスを考えたり、子どもの好きなキャラクターを食材で作ったり…感心させられます。

でも、子どもは“土曜日まで頑張って嫌いなもの食べるの…”という感じやキャラ弁は飾ることが重視されるので、意外と子どもの好きなものが入っておらず、箸がすすまないのです。(好きなものが入っていても少しの量です。)

お弁当に苦戦している子どものお母さんには、「お弁当には子どもの好きなものだけ入れてあげて下さい」と伝えます。要は苦戦せずに食べることができるお弁当です。

その理由として“子どもは普段から給食で嫌いな食べ物があっても、頑張って食べているので土曜日はご褒美のお弁当にして下さい”と…。

また、お母さんも土曜日まで働くのに早朝からキャラ弁に力を入れすぎたら疲れてしまいます。

このようにお話すると、お母さん自身もホッとされます。食育を大切にしている保育園なので、”お弁当を先生たちにチェックされるのでは!?”とプレッシャーがあったようです。

食育という言葉をお母さんが意識しすぎると、お母さんも子どももしんどくなります。

そして、子どもは食べることの楽しさが薄れていきます。

私は食育を無視して!という意味ではなく、時には上手に息抜きして下さい…ということです。お母さんが上手く食育と向き合えない時は、保育士や栄養士に相談して頼れば良いと思うのです。

子どもが求めるお弁当は?

私の弟は幼稚園の時、食が細くお弁当の時間がイヤでイヤでたまらない子どもでした。

母親に「お弁当はちょっとにして…」と常に言っていました。

そして、おにぎりは極小1個でした。(オッケーの〇ぐらいです。)それにおかずが少しだけなので、弟のお弁当箱はいつもカラカラと音がしていました。

母親は本当にこんなお弁当でいいのか…と思いながら作っていたそうです。

でも、弟はそのお弁当のおかげで苦戦せずに食べることができ、機嫌よく通園できたのです。

心と食べることは繋がっているので、弟はカラカラと音がするお弁当に心が安心したと思います。

体の成長と共に弟の食の幅は自然に広がっていきました。

大人が良かれと思い作るお弁当と、子どもが求めるお弁当は異なることがあるように感じます。

子ども一人ひとりにとっての愛情弁当を作ることができればステキですね。