七夕が近づくと、思い出す一冊の絵本があります。

それは、家でも学校でも怒られてばかりの小学一年生の男の子…。この男の子の心情を描いた絵本 “おこだでませんように” です。

小学校教員である くすのきしげのり さんの実体験がもとになった絵本です。

男の子が七夕の短冊に書いた願いごとが、そのまま絵本のタイトルになっています。

保育士時代、絵本の研修会でこの絵本の読み聞かせをしてもらった時、涙をこらえるのが必死でした。

そして、子どもなりに理由があることに気づかず、私は子どもを怒ってはいないか…と考えさせられたのでした。

目には見えない子どもの願い

主人公の男の子は、宿題ができなかった理由や妹を泣かせた理由があるのに、うまく言葉で表現できず怒られてばかりなのです。

また、怒られても言い返さない訳が、お母さんや先生の笑顔を見たいから…というのが何とも切ないです。

作者のくすのきさんは、毎日、怒られてばかりいる男の子が “おこだでませんように” と書いた短冊を見つけた時、

涙がでそうになったそうです。

たどたどしい文字で、それを書くに至った心情はいかなるものかと想像すると、胸が締め付けられます。

子どもは気づいてほしい

くすのきさんは、次のように述べられています。

“子どもたち一人ひとりに、その時々で揺れ動く心があります。そして、どの子の心の中にも祈りのような思いがあるのです。

私はそんな、子どもたちの心の動きや祈りのような思いに気づくことのできる大人でありたいと思います。” と…。

主人公の男の子は “また、きっと怒られる…” と思って先生に短冊を持っていきました。

短冊を見た先生は、男の子の気持ちに気づき涙を流すのです。

大人こそが、捉われない素直な眼差しをもって、子どもの心と対話する大切さを教えてくれます。

七夕を迎える時期におススメの一冊です。