こどもは、ままごと遊びが大好きです。0歳児クラスでも、ままごとコーナーを保育室に設置すると、お玉を持ちボールを持ってシャカシャカ混ぜる姿、お椀にスプーンを入れてすくい自分の口にもっていく姿などが見え、なんともカワイイです。
ままごと遊びの中では、こどもは好き嫌いなく何でも食べます。私は、ままごと遊びのこどものやりとりを沢山見てきましたが、「はいどうぞ」と出された物は「ありがとう」と頂くのが定番のやりとりです。「これはイヤ!」と出された物を断るやりとりは見たことはありません…。実際には苦手な野菜を出されても、ままごと遊びの中では全く問題なくニコニコ笑顔です。
木製の野菜のおもちゃで人参、大根、ピーマン、トマトなどがマジックテープでつながり形になっているものがあります。木製の包丁でつなぎ目を切るとサクッと音がして切れます。大人でも気分が良くなる切れ味です。この野菜のおもちゃは、ままごと遊びでいつも大活躍です。
なかなか難しいなぁ…。
ままごと遊びの中で、おもちゃの野菜を食べる経験を重ねていけば、本当の野菜も食べられるようになるのでしょうか?それは…なかなか難しいですね…。
そもそも、ままごと遊びは社会性や言語能力を高めることがひとつのねらいです。料理を作る相手がいること、その相手と「はいどうぞ」「ありがとう」のやりとりができることが楽しいのです。また、こどもは食べたり飲んだりする模倣を楽しむので、食の幅を広げるねらいとは異なります。
また、ままごと遊びからお母さんごっこに展開すると、お母さん役から赤ちゃん役、犬役、猫役まで幅広く、社会性が高まる役柄構成です。こどもの成長と共に遊びは展開されていきます。
やはり、これらも食の幅を広げるねらいとは異なりますね…
パーティは子どもにとって魅力的‼
では、どのように遊びを展開すれば、食育につながるのでしょうか?
これは私が保育士時代に実践した保育です。1歳児クラスの担任だった時、ストーリーの中に“きのこ”が登場するごっこ遊びをこどもたちと楽しみました。こどもたちは、ウサギ役です。ピョンピョン跳んでウサギになりきることを毎日楽しみました。
この、こどもたちの気持ちの高まりを活かそうと思い、ごっこ遊びに登場する“きのこ”をみんなで食べる“きのこパーティー”を企画しました。
“きのこパーティー”当日は、えのき、しめじ、エリンギなど色々な種類の“きのこ”をこどもたちに見せ、こどもたちの目の前で“きのこ”を焼きました。こどもたちは好奇心でキラキラした目をホットプレートに向け、釘付けです。焼けた“きのこ”をウサギになりきって、(頭にウサギの耳までつけて!)みんなで食べました。
クラスの中に“きのこ”が苦手なこどもが居たのですが、みんなと一緒に“きのこ”をほおばる姿に私は驚きました。クッキングの威力はすごい‼と改めて感じ、こどもは○○パーティーという響きに心がおどる‼と感じました。
こどもが味わう大切な味は⁉
クッキングの対象はある程度の年齢になってから…と考えがちですが、食材や調理方法を目で見て楽しむ経験は乳児クラスでも十分に可能です。
食育で大切なことは、楽しんで食べるということです。味わうのは、食べ物の味だけでなく楽しい雰囲気を味わうことが大切なのです。○○ごっこ遊びから○○パーティーに展開することは、雰囲気作りの工夫として、こどもが楽しんで食べることにつながる‼と実感した“きのこパーティー”でした。
家庭でこのような展開ができるとしたら…
ハロウィンごっこからハロウィンパーティーにつなげる展開はどうでしょうか‼
ハロウィンパーティーメニューに、こどもの苦手な食材があっても楽しさの方が勝り、食べることができたらステキですね‼