小麦粉アレルギーの子どもに米粉でパンを作れば、みんなと一緒にパンが食べられるという内容のAmazonのCMがあります。普段、パンが食べられない女の子は米粉のパンに嬉しそうに駆け寄り、友だちと一緒に笑顔でパンをほおばります。

私はこのCMを見るたびに食物アレルギーの子どもの心情をよくとらえているなぁと感じます。小学校や保育園の集団生活の中で、みんなと一緒に同じものが食べられない子どもの心情は計り知れません。

私も保育園に勤めていたので、食物アレルギーの子どもと関わった経験があります。年齢が小さいほど、食物アレルギーという理解が難しく、鶏肉アレルギーの子どもが友だちの鶏肉を見て、「自分も食べたい!」と泣かれた時は辛かったです。

心ない表現は残念です…。

集団生活の中で、食物アレルギーの子どもがみんなと同じものを食べている気持ちになるように、栄養士は常に工夫をしていました。

このAmazonのCMのように米粉を使うことはもちろん、乳製品のアレルギーの子どもには豆乳を使ったり、ケーキのクリームをサツマイモで作ったり、また、卵が入っていないクッキーを作ったり…味も本当に美味しく、栄養士の愛情たっぷりでした。食物アレルギーでない子どもが、思わず「いいなぁ」と言うほど見た目もステキでした。

食べることは、生きていく上で欠かせないことです。幼少期から食べられないものがある…食物アレルギーだから仕方ない…では子どもの食べる意欲がダウンするように感じます。

食べられないものがあれば、何が代わりに美味しく食べられるか‼とプラスの発想で子どもにバランスよく食べ物を提供するのが大人の役割ではないでしょうか…。

また、逆に食べられないことを理解するのも大切な大人の役割です。

食物アレルギーの子どものことを“甘え”で食べないだけではないか⁉と心ない声を聞いた時、腹立たしく思いました。

食物アレルギーは好き嫌いではないのです。子どもは“食べない”のではなく“食べられない”のです。食べることで命に関わることもあるのです。

子どもなりに、複雑な気持ちを抱えていると思います。そんな気持ちを理解できず、心ない表現をする大人がいることが本当に残念です。

一番嬉しいのは誰⁉

食物アレルギーの勉強をしたり、少しずつでも改善するように通院したり、外食やお友だちとの交流の場で工夫して子どもが食べられるものを持参したり…子どものために頑張るお母さんの姿をたくさん見守ってきました。

アレルギーの数値が少しでも改善した時は、お母さんと共に喜びました。でも、食の幅が広がった時、一番嬉しかったのは子ども自身だったでしょう‼

私は、医師では無いので子どもの食物アレルギーを改善することは出来ません。

でも、子どもの気持ちやお母さんの気持ちに寄り添って過ごすことは出来ます。

食べることは、生きていく上で欠かせないことです。それぞれの形で子どもの食べる意欲がアップするように大人の役割を果たしたいですね…。